先日、ある保護者の方からこんなお話を伺いました。
「発達特性のあるわが子が、運動会や発表会で“できない姿”を見てしまうと、とてもつらいんです。 今、運動会の練習が始まり憂うつになってしまって…。本当は楽しみにしたいのに、成長していることは分かっているのに、そんな自分が嫌になります。」
とても正直で、愛情があるからこその悩みです。
自分は「ダメな親」と責めてしまう心理
その方は、「我が子を他の子と比べる必要はない」「子どものペースで成長しているんだ」と分かっていても、
明らかに周りの子と違う姿を見ると、落ち込んでしまう時があるそうです。そして周りの子のように育てられない自分、我が子の成長を認めきれていない自分に落ち込んでしまうとお話されました。
自分を責めてしまうのは 「理想の親像」と「現実の自分」との
ギャップが原因かもしれません。
「良い親なら、子どもを運動会が楽しみなはず」
「良い親なら、子どものありのままを受けとめている」「その子の良さを伸ばせるはずだ」
「普通ができる子に育ててあげないといけない」「何歳までに〇〇をさせないといけない」
「親は、子は、〇〇なべきだ」「良い親は、〇〇している」といった思いが強すぎると、心も時間も余裕がなくなります。
一生懸命に子育てをしている方ほど現実との違いを「全部自分のせいだ」と感じてしまいます。
実はこれは心理学でいう “完全主義”や“認知のゆがみ” に近い状態です。
「100か0か」で考えてしまうことで、子どもの小さな成長やできている部分、得意な部分を見失い、
「うまくいかない=失敗」「子どもができない=自分の責任」と思い込んでしまうのです。
さらに、無意識のうちに 社会や周囲からのプレッシャー を
背負っています。
SNSやテレビでは「成功している子育て」や「できる子」の姿が大きく取り上げられます。まるで、勉強も運動もできて、親も子も笑顔いっぱいで…という子育て像が“理想”として示されることがあります。
そうした極端に持ち上げられた情報が日常的に目に入ることで、知らないうちに「うちの子は違う」「自分の子育てはうまくいっていない」とプレッシャーや圧力を感じてしまうのです。
「できた」「成功した」情報が増えれば増えるほど、自分の子育てと比較し、できない自分や子どもを劣っていると感じやすくなり、自分を責めやすくなるのです。
子どもの成長は親だけの力でつくられるものではありません。
家庭の環境や本人の特性、そして学校や地域のサポートなど、さまざまな要素が重なり合って育まれます。
成長の過程には「上手くいった時」「難しい、時間がかかる時」があって当然です。それを親として一緒に体験している、気持ちに共感している、それだけで十分子育てで、意味のある歩みなのです。
頑張っているあなたが、自分を責めないためのセルフケア
「子育てを楽しめない自分」を責め続けないでほしいです。時には、自分を大切にする時間を持つことが、楽しめるヒントになり、子どもへの関わりをラクにしていきます。子どもだけじゃない、親のあなたも大切です。自分のためにできることはなんですか? 自分のためにできることを、生活の一部に取り入れることを考えてみて下さいね。
セルフケア案 あなたの心が整いますように。
1. 感情にラベルをつける
気持ちを言葉にすると、不思議と心が落ち着きやすくなります。
- 「今は不安なんだな」
- 「ちょっと疲れてるんだな」
- 「私は子どものことが心配なんだ」
感情をそのまま言葉にする、紙に書くだけで、「感じてはいけない」と抑えるよりも心が整理されます。
2. 10分だけ自分のための時間を持つ
長い時間でなくても大丈夫です。
- お気に入りのコーヒーやお茶を入れて香りを味わう
- ベランダに出て空を見上げる
- 好きなアーティストの音楽を聴く
- 好きな香りのハンドクリームを使う
「ほんの10分」でも、気持ちはリセットされやすくなります。
3. 体をゆるめる
心と体はつながっています。体を少しほぐすだけで、心も軽くなります。
- 目をつぶり 深呼吸を3回(4秒吸って、6秒吐く)
- 肩や首を回すストレッチ
- 散歩をする
無理なくできる動きでOKです。
4. 信頼できる人に話す
頭の中でぐるぐるしている気持ちは、言葉にするだけで軽くなります。
- 家族や友人に「ちょっと聞いて」と話す
- 先生と子どもの様子を共有する
- 専門家やカウンセラーに気持ちを預ける
「話す=解決」ではなくても、安心感が生まれます。
5. 自分を励ます、本を読む、言葉を見る、聞く
セルフケアの最後に、自分を否定しない言葉を持っておくと安心です。
- 「私は今できることをしている」
- 「比べなくても大丈夫」
- 「子どもと一緒に歩んでいけばいい」
声に出してみると、心がふっと緩むことがあります。
最後に
運動会や発表会は、周りより「できる・できない」を比べるための場ではありません。
子どもの結果を評価する場ではありません。
お子さんが努力してきた過程、そして親御さんがその姿を最後まで見届けたこと、取り組みの「最初、中、最後」流れのすべてが大切な経験です。どんなネガティブな感情を抱いたとしても客観的に自分を見つめること、その時自分の心の余裕があるのか、整っているのかを確認し、自分が必要だと思う時間を過ごしてみて下さい。
「ありのままの子どもを愛する」ことが大切ならば、「ありのままのあなたも愛する」ことも大切。
大丈夫、大丈夫、私達大人も学び中、成長中。 我が子を一生懸命に思うあなたは、とても素敵です。